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    高血圧と塩分摂取の関係性について。減塩は本当に必要なのか?


    高血圧はそのものよりも様々な合併症に発展する危険がありそこに怖さがあります。高血圧であればまず減塩するということ思い浮かぶのではないでしょうか。最近はそれに異論を唱える論文や書籍、記事を目にします。高血圧や食塩のこと、減塩は本当に必要なのかどうかを解説していきます

    はじめに

    人はそれぞれ感じ方が違います。同じことを言っても怒る人もいれば喜ぶ人もいます。それと同じように体も人それぞれ違います。同じ症状でも同じようなアプローチの仕方で体が良くなるという保証はありません。

    西洋医学だけでなく東洋医学的観点からもみなければいけません。

    また、塩もどんな塩を摂るかということも重要になってくるでしょう。

    この記事の結論は「人によってそれぞれ違う」です。

    もともと人間には自分の体を守るため環境の変化に敏感に対応するようになっています。血圧が上がるということは血圧を上げる必要があるからあがっているのです。

    その原因を見つけてそこに働きかけていくことが重要です。

    高血圧とはどういう状態か


    高血圧治療ガイドラインでは
    医師看護師が測定する場合は140/90mmHg以上
    家庭で測定する場合は135/85mmHg以上を高血圧としています。

    病院で血圧を測ってもらう場合、家庭で測るよりも高くなることがあります。家庭で測る血圧が正常で高血圧が原因で起こる合併症がなければ問題ありません。白衣高血圧ともいわれています。

    普段とは違う環境で血圧を測ると精神的ストレスがかかり交感神経が優位になり普段よりも血圧が高くなります。

    高血圧はなぜよくないのか

    高血圧を放置しておくと様々な合併症を引き起こします。

    長期間高血圧の状態が続くと心臓は過重労働に対応しようと心筋を増やして大きくなります。これを心肥大といいます。

    心肥大になると不整脈や後々、心不全など突然死に発展する危険があります。

    動脈硬化

    血圧が上がると、血管の内壁は圧力に耐えるため厚く硬くなります。これを動脈硬化といいます。通常血管は弾力に富んでいますが、動脈硬化になると血管は、圧力に耐えるため硬く厚くなりますが次第にもろくなります。

    弾性力を失い硬く厚くなった末梢血管は抵抗を増し、さらに血圧が上昇するという悪循環になります。

    心臓の圧に耐え切れなくなるとそこに出血が起こります。脳で出血が起これば脳出血となります。くも膜下出血の原因である動脈瘤(どうみゃくりゅう・こぶ)もできやすくなります。また血栓もできやすく、そのままつまれば脳血栓症に、血流に乗って運ばれて脳で詰まれば脳塞栓症などの脳梗塞を発症します。

    心臓は血液を介して全身に栄養を運びますが心臓自身も栄養が必要です。心臓に栄養を運ぶ細い血管がありこれを冠状動脈と呼びます。この部分で詰まれば心筋梗塞を発症します。

    この動脈硬化は子供のころから徐々に進行し、症状が出るころにはかなり進行しています。動脈硬化には様々な原因がありますが、防ぐことのできるものが多いです

    高血圧の原因

    高血圧になる原因は様々あり、この中に塩分摂取が入るのかどうかということですが、それと上で挙げた動脈硬化以外の代表的なものを挙げていきます。

    肥満


    肥満になると酸素消費量増加するため心拍出量が増加し血圧が上昇します。

    また、インスリンの過剰分泌によって腎尿細管からのナトリウム再吸収が促進され血液量が増加し血圧上昇につながります。

    高度の肥満になれば脂肪が血管を圧迫し、血液が流れにくくなるため、全身に血液を流すため、更なる血圧の上昇を必要とします。

    日本人は1日3食規則正しく食べましょうと教えられてきました。3食というのは食べすぎです。3食をすべて腹7分目で抑えれるなら、問題はないかと思いますが、このストレス社会でそれは無理でしょう。ついつい食べ過ぎてしまいます。1~2食がベストです。朝から晩まで仕事をされている方であれば、意外と簡単です。

    ストレス

    人はストレスがかかると交感神経優位となりアドレナリン・ノルアドレナリンの作用で血圧が上昇します。

    また、副腎皮質刺激ホルモンが放出されます。
    副腎皮質ホルモンであるアルドステロンの分泌を促し、
    腎臓でのナトリウム再吸収を増大させて、カリウム排泄を促します。
    ナトリム再吸収にともなって水分も再吸収されるため血液量が増加し、結果血圧は上昇します。

    喫煙

    喫煙をすると抹消血管が収縮し、血圧が上昇します。

    たばこの煙には一酸化炭素が含まれています。
    血液の赤血球の中にヘモグロビンという色素タンパクがあり、通常ヘモグロビンは酸素と結合して全身に運ばれます。しかし、一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、酸素とヘモグロビンの結合を邪魔し、全身の細胞が酸素不足になります。

    更にタバコの有害物質が血管をもろくしていき、動脈硬化につながります。

    多量の飲酒

    多量の飲酒は高血圧につながります。
    適量の飲酒はむしろ健康によく、お酒を飲む方は特にやめる必要はありませんが、飲む量に気をつける必要があります。

    適量は1単位で純アルコール20gです。
    1単位とは
    アルコール度数5度であれば500ml
    アルコール度数14度であれば180mlです。

    適量を守ることが大切です。量が増えれば健康効果はなくなり害になるだけです。たくさん飲んで「これが俺の適量さ」などと言わないようにしましょう。

    アルコール許容量には個人差があることと、適量の概念が当てはまらないことがある(アルコール依存者、飲酒運転、妊婦、薬物乱用者、未成年者)こと1)にも注意が必要です。

    私自身の体験として肥満を少しばかり解消すると血圧が下がりました。30歳くらいまでは、血圧は常に上は145したは90を超えていました、病院ではかってもらうと大体160/95くらいでした。15kg程おちたら110-125/70-75くらいで収まるようになりました。

    高血圧になるとなぜ減塩するのか

    食塩を摂取すると浸透圧の関係で血液量が増加します。増加した血液を全身に運ぼうとするため心臓は圧を上げてこれに対応しようとします。その結果血圧が上がります。というのが普通される高血圧の説明です

    またさまざまな疫学研究から食塩摂取が高血圧と関連することがわかっています。

    減塩は効果あり

    ブラジルの北部に住むヤノマトインディアンは1日の尿中ナトリウム排泄量は約1mmol(1ミリモル)と少なく加齢に伴う血圧上昇も認められない2)

    チンパンジーに一日5~15gの食塩負荷を行うとレニンの抑制とともに食塩量に依存した血圧上昇が認められた3)

    自然食のみで飼育されたチンパンジーにはヤノマトインディアンと同様に加齢にともなう血圧の上昇はみられない4)

    本態性高血圧患者では、腎臓から正常にナトリウムと水を排泄するためにはより高い血圧が必要5)

    減塩は効果あるとは言えない

    高血圧患者において10.6g/日以下の減塩で逆に心血管イベントリスクが優位に上昇する6)
    心血管イベントとは心、血管の病気のことです

    米国インディアナ大学のミラー教授らは血圧が正常な男女82人を対象に一日の塩分摂取量を9.2gから4gまで減塩した
    結果:血圧がほとんど変化しない53%,血圧が下がる30%,血圧が上がる17%7)

    英国の医学誌the lancet
    高血圧グループと正常血圧グループの被験者に、一日食塩摂取量を17.5g以上になるように造園した場合と、逆に一日7.5g以下になるように減塩した場合。
    正常血圧のグループでは増塩しても高血圧のリスクを高めず、減塩した場合ではどちらのグループも高血圧のリスクを高める。8)

    25~75歳の成人21万人を対象4つのグループに分かれる
    最も摂取量の少ないグループ 男性2.64g 女性1.70g
    最も摂取量の多いグループ 男性11.52g 女性7.89g
    結果:食塩摂取量の多いグループが一番死亡率が低く摂取量が少なくなるにつれ死亡率が高くなる。高血圧や脳卒中も食塩摂取量が少ないほど多い。9)

    以上の報告のように食塩を摂取することによって血圧が上がる人もいれば、逆に下がる人もいるという結果です。

    人において食塩感受性高血圧は30-40%10)非食塩感受性高血圧の人が過半数を上回っています。そして、減塩をして血圧が上がる人もいます。果たしてこれを踏まえて高血圧=減塩ということになるのかどうか。

    WHOが決める摂取基準や、国が決める摂取基準は様々な有意なデータ、研究をもとに出されています。そしてそれを基に舵を切り、それで症状がよくなる人がいるのも事実で、非常によくできていて、理解できます。

    しかし例えば100人いて70の人に効果があって20人に効果なし。10人には逆の効果があるとなったとき、もし、あなたがこの方法を指導されて10人の中に含まれていたらどうでしょうか。
    「自分は症状が悪化したけど100人中70人も助かってるし、自分は運が悪かっただけだから、ま、いっか。」
    となるでしょうか。

    血圧は上がる必要があるから上がっているということを考えると、違う視点からこれをみる必要があります。これは中医学的にみてみます。

    陰陽学説

    宇宙間のあらゆる事物は、全て陰と陽に分けることができます。陰陽は事物を無限に分けることができるため、その分けられた陰陽も更に陰と陽に分けることができます。これを陰陽可分といいます。

    人の体も陰陽にわけることができます。

    下部上部
    体内体表
    腹部背部
    内側外側
    陽の性質は活動的、外在し、上昇し、温熱的、明るく、機能的、機能の亢進しているもの
    陰の性質は落ち着いて静かなもの内在し、下降し、寒冷的、暗く、物質的、機能の減退しているものをいいます。

    塩は陽に属します。

    陽に分類される食べ物は体を温め、引き締める働きがあります。機能が亢進するため血圧も上がります。

    陽性体質の人が塩をとればもっと陽性に、陰性体質の人が塩をとれば、体が陽性に傾こうとし、(バランスが取れる)体を温め体温が上昇します。

    体が温かくなれば、血管は弛緩し血圧も下がります。

    陰性体質の人が減塩をすれば、更に陰性に傾きます。

    陰性は機能の低下、体温や基礎代謝の低下を招き、体液量が増え血圧が上がります。

    陰陽どちらが悪いとかではなく、バランスが大事でどちらかに偏りすぎると良くありません。
    陰がなければ陽もなく、陽がなければ陰もありません。

    中医では陰陽を軸に、表裏、虚実、寒熱を合わせて分析します。

    的確に証(しょう)を立てること(中医学でいう診断)ができれば、高血圧で減塩したらもっと血圧が上がっちゃった。なんでだろう。ということにはなりません。

    血圧の測定を日課にしよう

    血圧の測定を日課とすることで、血圧を意識することができ、その行為自体が健康に向かう第一歩となります。歯磨きなどと一緒に毎日することが大切です。

    1.「お父さんなにその大きな腕時計」
    「血圧計だよ。これから毎日測るんだ」
    2.「バッチリ正常値さっ!」
    「宮っち食堂を見たりして健康にはきを使ってるからね」
    3.「お父さんより私のほうが数値低いよ」
    4.「いやいやそんなはずは・・・きっと何かの間違い・・・」
     「そんなに興奮したら血圧上がりますよお父さん」

    家庭用で測定する血圧計は主に上腕式と手首式の2種類が売られています。
    通常上腕部での測定が心臓からの位置が近いですのでより正確に測定できます。

    上腕部で測るのが億劫にならないのであれば上腕部での測定をお勧めします

    手首式は上腕部で測るよりも手軽にできるため、血圧測定が続けられそうにない人は手軽にできる手首式がお薦めです。

    毎日のことですので最初のうちはとにかく続けることが大切です。
    習慣になれば血圧を測ろうと思ったときから測定終了まで2分以内です。歯磨きより時間が短いです。

    いつ測定すればいいのか

    朝と晩計2回ほど毎日決まった時間に測定します。

    どちらの場合も落ち着いたリラックスした状態で測ることが大切です。

    例えば、朝であればトイレを済ませ落ち着いた(だいたい5分後)後計測します。

    夜は寝る前に計測するのがよいでしょう。(食後すぐなどは避ける)

    もちろんそれ以外のときに計測しても問題はありませんが、4コマ漫画のお父さんのように何度も測りなおすことには意味はありません。

    血圧は日内でも朝が低く、日中が高いです。
    安静時には低く、活動時には高い。

    人間の体は必要なときに血圧を上げる仕組みになっています。
    もし、高血圧の治療を考えるときには、この当たり前のことをもう一度理解しなおす必要があります。

    日本でいう食塩、塩とはどういうものか

    以下、99%以上塩化ナトリウムの食塩を便宜上「精製塩」とします
    塩化ナトリウムが85%以下で塩化ナトリウム以外のミネラルも含まれていて、その組成が海水に近いものを、便宜上「天然塩」とします。

    この記事で便宜上分ける理由は、物がまったく違うからです。

    1.「お父さん少しお塩かけすぎではありません?」
    「大丈夫だよ。良い塩ならいくらとっても大丈夫なんだ。」
    「そーなの?」
    2.「でもそれお店で普通に売ってたものだけど・・・」
    「そもそも良い塩ってどんなの?」
    「えっ!?」
    4.「宮っち食堂に聞いてみよう!!」
    「そうだね」
    「分かってなかったのね・・・」

    精製塩と天然塩

    日本の塩の自給率は15%以下です。そのほとんどは海水を原料としたイオン交換膜で製造されている精製塩です。

    日本では精製塩も天然塩も同じ「塩」または「食塩」11)として売られています。消費者庁に、天然や自然など、塩を直接修飾する表現として使用できない12)とあり、売られている名称※)では区別がつかないのが現状です。

    ※名称とは商品名のことではありません。名称はその商品を一般的にあらわす名前で、裏面の食品表示ラベルの一番上に表示されています。
    宮っち食堂のぬか床であれば商品名が「こだわり熟成ぬか」、名称が「ぬか床」といった感じです。

    精製塩として売られているのは再製塩というのが国際的にも通じやすい12)そうです。再製塩は輸入原料を加工して作られたものです。これも高濃度99%以上の塩化ナトリウムです。

    天然塩を摂ろう

    海外で行われた実験があります。13)
    真水に精製塩を加えた水槽と、天日塩(天然塩)を加えた水槽二つを用意し、濃度は海水とほぼ同じにします。

    これに魚をいれると、1時間40分で精製塩のほうの水槽の魚は死んでしまいます。
    天日塩のほうは元気に泳ぎ回っています。

    ミネラルが足りない状態が続くと生物は死んでしまうのです。

    同じ塩でも成分が全く違います。

    実験は魚でしたが、人間に置き換えてみるとどうでしょうか。私たちは普段気を使わなければ99%塩化ナトリウムの精製塩を摂取しています。塩化ナトリウム以外のミネラルは食塩以外からとらないといけないということになります。

    食塩として売られている精製塩は色んな食品に含まれています。加工食品で、食塩(塩)とかかれていたら、ほぼイオン交換膜製法で作られた塩です。塩化ナトリウムが悪いわけではありません。塩素とナトリウムは人間の体の中にある大切なミネラルのひとつです。しかし、精製塩はバランスが悪いと言わざるを得ません。

    人間の体内にある元素と海にある元素は大半が重なり、人間の体液は太古の海とよばれています。人間の祖先が海の生物から進化してきたということを考えても、海水のミネラルバランスにちかい塩を摂るというのが体にとっていいのではないでしょうか。

    摂取量の上限はどれくらいか

    では4コマ漫画のお父さんの言うように、天然塩であればいくらとってもいいのかというと、そうではありません。

    塩は食欲増進作用があるため、エネルギー過剰摂取となれば、肥満につながります。

    摂取量は自分の体が教えてくれます。
    というと、非常に頼りない感じがしますが、一番確実で体にいい方法です。

    それにはまず、精製塩を徹底的に減塩し、天然塩を摂るようにします。
    良いものというのは体がすぐにわかります。

    (あくまでも参考程度)
    現在日本人の食塩摂取平均値は
    男性10.8g/日 女性9.1g/日となっています。
    国の目標値は8g/日です。

    塩には不思議な力がありデータだけでは現せないものがあります。

    いい塩梅(あんばい)を守りバランスを保つことが健康や若々しさにつながります。今使ってる塩を天然塩に替えることからはじめてみましょう。

    まとめ

    高血圧=減塩とはなりません。

    しかし日本人は塩を摂りすぎる傾向にあるため、減塩の意識は大切です。そして塩はバランスの取れた天然塩を摂るようにし、加工食品は避けるようにします。加工食品にはほとんど精製塩が使われており、量も多いです。

    中医学的にみれば、色々と説明がつき対処法もわかります。

    高血圧で受診されるかたは、東洋医学や中医学を前向きに取り入れている病院や診療所で診てもらうことをおすすめします。東洋医学と西洋医学が共存し、いろいろな角度から診てもらうことができるでしょう。

    最後に

    薬で高血圧に対応しようとする場合、薬自体の副作用もあるかもわかりません。血圧が下がることで、本来体が要求している血液量を確保できないために、栄養不足や酸素不足になることもあります。緊急時の服用ならまだしも常時となると長期的にみてどこかしら異変が起きることを疑わなければいけません。

    参考書籍

    7.8)石原結實, “「減塩」が病気を作る!”,2017

    本記事陰陽学説) 東洋学術出版社, “鍼灸学「基礎編」日中共同編集 第3版”,より

    9.12.13)上田秀夫, “塩を変えれば体は良くなる!?”,2017

    参考文献

    1)今泉和彦,立屋敷かおる, “飲酒と健康”,2005

    2~4)“大蔵隆文,檜垣實男, “本態性高血圧の成因”,2007

    6.10)坂口好秀,”厳格な減塩は本当に必要なのか”,2018

    11.12)消費者庁”食用塩の表示に関する公正競争規約および施行規則
    “の公正競争規約より,2016